職場・キャリア

障害者雇用で働くなら就労移行支援事業所へは通うべき?それとも自力で就活すべき?

障害者雇用で就職活動をする求職者をサポートしてくれる施設、就労移行支援事業所をご存じですか?

就労移行支援事業所は通所型の施設で、PCスキルやビジネスマナー、障害についての自己理解、また面接や履歴書の記入方法など、障害者の就活について幅広くサポートをしてくれます。

これから障害者雇用での就活をする際に、就労移行支援事業所へ通うべきか、それとも自力で就活をすべきか悩む方も多いかと思います。

就労移行支援所に通うメリットとデメリット、また、自力での就活との差異や選び方のヒントになるような情報を紹介していきます。

就労移行支援事業所で教えてもらえること

就労移行支援事業所では、障害者雇用での就職に役に立つサポートを網羅的にしてもらうことができます。

ビジネスマナー

スーツなど服装に関するマナー、挨拶の方法、メールの書き方、敬語の使い方、ビジネス用語の使い方など、幅広い知識を教えてもらうことになります。

社会人経験のない人でも、これを学ぶことで社会人としての最低限必要なスキルを身に着けることができます。

PCスキル

障害者雇用の求人の多くは事務職求人です。その事務職において求められるのがPCスキルです。

具体的には、Word、Excel、Outlookなどのオフィスソフトの使い方を学ぶことが多いです。

障害についての自己理解

障害者の就職活動において、自分の障害の特性をしっかりと理解し、それを人事担当者に対して簡潔に説明できるようになっておくことは非常に大切です。

そのための自己分析についても、じっくりとサポートしてもらうことができます。

就活サポート

履歴書やエントリーシートの書き方、応募企業選びの相談、面接連取までさまざまなサポートを受けることができます。

就職後のサポート

実は障害者雇用の離職率は低くないという現実があります。障害の種類や業種にもよりますが、障害者雇用で就職して、1年後の定着率は6割程度とされています。しかし、就労移行支援事業所は就職後も職場に定着できるように、仕事の悩みを聞いてくれたり、職場の上司も含めて三者面談を実施してくれたりします。

これによって、就職後の安定した職場定着をサポートしてくれるのです。

また、就労移行支援事業所は、週に最大で5日の通所が可能です。毎日通所できていると、安定的な出勤ができるというアピールに繋がり、企業の人事担当者に好印象を与えられるというメリットもあります。

就労移行支援事業所に通うために必要なこと

就労移行支援事業所に通うための方法と条件を記載します。

就労の意欲があること

公金を投入した職業支援であるため、利用者が就職を希望していることは大前提となります。

利用開始時点で18歳以上65歳未満

就労を目指す施設であるため、年齢的に現役世代であることが求められます。

障害か難病があること

疾病による就職困難者向けの施設なので、これが条件になります。障害者手帳がなくても、医師の診断書などがあれば利用することができます。ただ、障害者雇用として採用されるためには障害者手帳の取得が必須となるため、最終的には取得する人がほとんどです。

利用期間は原則2年間まで

就労移行支援事業所の利用期間は原則として2年間が上限となります。

この期間内に就職を目指して訓練を行います。

受給者証の取得

地方自治体に対し「この就労移行支援事業所に通いたいです」との届出をすることで障害福祉サービス受給者証(通称 受給者証)が発行されます。

就労移行支援事業所の選び方のコツ

ちなみに、就労移行支援所にはそれぞれの強みやカラーが存在します(発達障害の就活に強い/大卒者に限定/元引きこもりの支援に特化など)。

お住まいから通所できる範囲に就労移行支援事業所が複数あり、どこを選べばよいか分からないこともあるかと思います。見学や体験の制度がありますので、複数の就労移行支援事業所を比べてご自身に合ったところへ通うのがおすすめです。

就労移行支援事業所に通わない選択肢もあり?

障害者雇用での仕事探しにおいて、就労移行支援事業所への通所は必須ではありません。
つまり、自力で就活をするという方法でも良いわけです。
先述のように就労移行支援事業所は手厚いサポートをしてくれますが、デメリットもあります。

・他の利用者のレベル次第では、既に知っている内容だらけで退屈に感じることがある。
・就職が決まるまで短くとも半年ほどの期間が必要である。

例えば社会人経験があり、ビジネスマナーやPCスキルに自信があるとか、経済的な事情ですぐにでも就職したい…などの理由のある人は、就労移行支援事業所を使わずに自力で就活をする方が向いているかもしれません。

就労移行支援事業所と就労継続支援事業所は何が違うの?

就労移行支援事業所と似た名前の就労継続支援事業所という施設があります。違いがわかりにくいかと思うので、説明します。

就労移行支援事業所就労継続支援事業所
目的一般企業での就職を目指す継続的に働くことで社会参加する
やること職業訓練・就職活動支援・職場実習など軽作業等の生産活動が中心

就労移行支援事業所は就職を目指すための訓練学校のイメージです。

反対に就労継続支援事業所は職場そのものです。障害を持つ人が、社会参加しながら生産的な業務を行うことを目的にしているので、就職を目指すための訓練を受けられるところはあまり多くありません。

ちなみに、就労継続支援事業所にはA型とB型の2種類が存在します。
これについては、次回の記事で詳しく説明したいと思います。

ABOUT ME
トゥレット症候群を持ち、一般企業の障害者雇用枠にて労働しております。トゥレット症候群のこと、発達障害のこと、精神疾患のことなどを多くの人に知って欲しくて自分にできることを探し中。精神保健福祉士、保育士、ファイナンシャルプランナーでもあります。