職場・キャリア

【障害者雇用を知る―自分らしい働き方の第一歩】①障害者雇用とは?下準備と知っておくべきこと

「働いてみたいけど、障害があっても大丈夫かな?」
「そもそも障害者雇用って聞いたことがあるけど、よくわからない…」

そんな風に思ったことはありませんか?実は、障害のある人が働くための特別な仕組みがあります。それが「障害者雇用」です。
障害者雇用とは、簡単に言うと「会社が障害のある人を雇うときの特別なルール」です。障害を持つ労働者と会社が相談しながら、お互いにとって良い働き方を一緒に考える仕組みです。

でも、「どうやって始めればいいの?」「何を準備すればいいの?」という疑問もありますよね。
このシリーズでは、自身も障害を抱えながら企業内精神保健福祉士として働く私が、「障害者雇用ってどんなもの?」という素朴な疑問から「障害者雇用のための準備や面接対策」そして「採用されてからの職場定着」まで、連載でお話ししていきます。
みなさんがご自身の将来を考えるときに、障害者雇用を一つの選択肢として考えていただけるようになるお手伝いができると幸いです。

障害者雇用って?

障害者雇用とは、「障害者雇用促進法」という法律に基づき、障害のある人が働きやすくするための仕組みです。従業員が一定数以上いる会社には、2025年8月現在、「障害のある人を2.5%以上雇いましょう」という決まりがあります。

この障害者雇用率は年々上昇しており、いま、障害者を求めている企業が増えています。

最初から「障害を持っている」ということを会社に伝えて働くので、一般就労に比べ、合理的な配慮をしてもらえます。具体的には、

・体調に合わせた働き方ができる(時短勤務、通院配慮など)
・職場の理解とサポートが得られる(業務量の調整、車いす対応など設備面での配慮等)
・専門機関のフォローが受けられる

というようなことが挙げられます。働く側にとってのメリットも大きいのです。

障害者雇用で働くためには「障害者手帳」の取得が重要

先述した障害者雇用率を満たすためには、その証明として障害者手帳が必要となります。

障害者手帳には3つの種類があります。ひとつめは四肢や聴覚、視覚などの障害を持つひと向けの身体障害者手帳。もうひとつは知的障害を持つひと向けの療育手帳。最後は精神疾患を持つひとを対象にした精神障害者保険福祉手帳があります。

手帳の取得方法に関しては種類や等級により多少異なりますが、おおまかには、

①市町村の窓口またはHPにて必要書類を確認して入手する

②病院を受診し、診断書を書いてもらう

③診断書と必要書類を市町村の窓口に提出

という流れになります。詳しくはお住まいの地方自治体(市区町村)のホームページを見るか、役所の福祉課に相談してみましょう。

また、市町村に必要書類の提出後、手帳の取得までには2~3カ月の時間を要する場合がありますので、ご注意ください。

よくある障害者雇用の不安&疑問

障害者手帳に関して、よくあるご相談やご質問をまとめてみました。

障害者雇用に資格や学歴は重視されますか?

一般の求職活動とは異なり、障害者雇用においては資格や学歴はあまり重視されません。それよりも、自分の障害についてしっかりと理解し、必要な配慮について説明する能力「障害理解」が大切です。後ほどの記事で詳しく説明いたします。

障害者雇用だと低賃金になるのですか?

一般的な正社員よりは給料が安くなる傾向は確かにあります。ですが、法律で決まっている最低賃金を下回ることはないので、生活ができないほどの低賃金になる心配はありません。また障害年金をもらいながら働くという手段もあります。

正社員になることはできるの?

ひと昔前は障害者雇用の正社員求人はすごく少なかったですが、最近は増えてきています。また、アルバイトや契約社員として入社したとしても、その後に正社員として登用してもらえる会社も増えてきています。

やっぱり障害者手帳の取得には抵抗感があります

焦る必要はないと思います。障害者雇用の場合は年齢の要件もゆるいことが多いですし、一般雇用での就労を試してみてから、障害者雇用で働くかどうか考えるのでも遅くはないと思いますよ。

障害者雇用で仕事を探す方法を知りたいです

障害者雇用での求職活動については、さまざまな方法があります。求人サイトで検索し自分で応募する方法もありますが、就労移行支援所という障害者雇用での就活のサポートをしてくれる施設もあります。詳しくは別記事で記載しますね。

◇  ◇  

いかがでしたか?障害者雇用について、少しイメージが湧いたでしょうか。

障害者手帳の交付には結構な時間がかかることも多いですので、不安に思う人はまずお近くの自治体の福祉課へご相談してみてください。私のような精神保健福祉士が常駐していることもありますから、是非頼りにしてくださいね。

次回の記事では、障害者雇用での就職活動において必須となる「自己分析」「障害理解」についてお話しします。面接でもよく質問される内容なので、事前準備をしているか、していないかで大きな差が出ます。

初心者にも分かりやすく解説しますので、次回もどうぞお楽しみに!

ABOUT ME
トゥレット症候群を持ち、一般企業の障害者雇用枠にて労働しております。トゥレット症候群のこと、発達障害のこと、精神疾患のことなどを多くの人に知って欲しくて自分にできることを探し中。精神保健福祉士、保育士、ファイナンシャルプランナーでもあります。