「障害理解」とは自身の持つ障害特性を理解することです。障害理解が深まることで、他人に上手く自身の持つ障害を伝えられるようになったり、自身の日常生活を安定させることに繋がるなど多くのメリットがあります。詳しくは前回の記事をご覧ください。
それを踏まえて今回は「障害者雇用での就職活動」を見据えた、より実践的な障害理解について記載していきます。前回の記事を受けて障害理解をご自身で実践してみた方は、お手元にその文書を置いて読んでいってくださいね。
障害者雇用での就職活動で頻出の質問集
障害者雇用における就職活動にて、障害理解が前提となる質問がしばしば聞かれます。
頻出の質問を知っておくことで、逆算して障害理解を深める手掛かりになります。
「もし弊社で働くとなった際、どのような配慮が必要ですか?」
企業は、雇用した障害者が快適に業務を行うことのできる環境を整える義務、すなわち合理的配慮の提供義務を負っています。その関係で、このような質問は障害者雇用の面接では頻出です。
障害の程度を低く申告したくなる心理も理解できます。しかし入社後のミスマッチにより早期離職へと繋がってしまう方が企業、求職者双方にとってデメリットが大きいのです。きちんと自分の言葉でどのような配慮が必要かを理路整然と話すことができると、むしろ企業側は安心材料として捉えます。
前回の記事に沿って障害理解を進めてくださった方は、「障害特性」「障害特性上の苦手」「通院・服薬ペース」の辺りを参考に、答えられるようにしてみてください。
「通院の頻度はどのくらいですか?」
障害理解をきちんとしていると答えられる質問です。
企業としてはどのくらいのペースで休暇を与えたり、時短勤務などの配慮が必要なのかを知りたくて聞いているので、できるだけ具体的に回答できるようになることが理想です。
「あなたは優秀な人に感じます。なぜ、あえて障害者雇用で就職活動をしているのですか?」
このような少し意地悪な質問をしてくる面接担当の人事がたまにいます。質問の意図としては「一般雇用で仕事ができない理由」つまり先述の「どのような配慮があれば働くことができるのか」と似た質問となります。
基本的には先述の通りの回答で良いと思うのですが、もし一般雇用での経験(アルバイトなども含む)があれば、その際に感じた難しさを話せると良いでしょう。
実際に必要な障害理解の項目
前回記事にある項目(診断名の正式名称、障害特性と苦手、通院頻度)は当然把握するべきとして、その他に就活の際、特に必要となる障害理解の項目を記載します。
応募する求人の職種に合わせて、希望する配慮を言えるようにする
障害者雇用の多くの求人は事務職です。オフィスという環境を想定し、どのような配慮をしてもらえば職場に定着できるようになるかを説明できるようになることが大切です。実際によくある例として、次のようなものがあります。
・騒音が苦手なので、オフィスでの耳栓の着用を許可してほしい。
・口頭での指示はすぐに理解できないことがあるので、メールなど文章で指示を出してほしい。
・2時間に1回、5分ほどの小休憩が欲しい。
過去に障害特性によってどのような苦労があったのか理解し分析する
障害によってどのような苦労や失敗があったかを理解しておくことで、今後、うまく工夫して乗り越えていく手掛かりになります。特に、アルバイトや就労移行支援施設での作業や職業実習など、仕事に関連するものは理解しておくことが重要です。
思い出したくない過去もあるかもしれませんが、自分の失敗や苦労の理由を正しく理解しておくことが、同じ苦労を避けることにつながります。
具体例を紹介します。
・過去、経理処理と同時進行で月次報告書の作成を任されたときに、パニックになってしまった
⇒「複数の仕事を同時進行するとパニックになってしまうので、できるだけ仕事は1つ1つやらせてほしい」
・過去、あいまいな指示を出され解釈に悩みすぎて疲れ果ててしまった
⇒「指示をできるだけ具体的にしてほしい。また、どうしてもあいまいな指示になってしまうときは、迷ったときの相談先を明確にしてほしい」
・電話越しだと相手の言葉がうまく聞き取れず、いつも失敗してしまう
⇒「可能な限り電話の少ない部署に配属してほしい。遠隔でのコミュニケーションが必要な場合はメールやチャット、ビデオ通話など自分にとってやりやすい手段で行ってもらえないだろうか」
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自己分析、障害理解が深まると次は履歴書、エントリーシートに着手しなくてはなりません。次回の記事では「障害者雇用における人事に好印象な履歴書の書き方」を記載しますので、ぜひご覧くださいませ。


